
電車通勤していた頃、
電車が大幅に遅れてしまい
電車が来るまでずっと駅で
待っていたことがあった。
携帯電話のなかった時代で
数台あった公衆電話には
OLやサラリーマンたちの
長蛇の列が出来ていた。
ただ、そんな公共の場所でも
人の性格というのは出るもので
人目を憚らず「まだか、早く切れ」と
怒鳴っている人もいた。
一人のOLの会話が気になった。
「あのー、こんなの言い訳にしか
ならないんですけど、実は、
電車が大幅に遅れてしまって・・・」
ぼくはその時思ったものだった。
『いや電車の遅れは言い訳ではない。
大手を振って遅れられる権利だろうが。
一体どんな会社に勤めているんだ?』と
当時ぼくの勤めていた会社は
かなりのブラック企業だったが
遅延証明書さえ提出すれば
嫌ごと言われずにすんだのだから。
さて、その一方で駅の構内では
「〇〇高校の生徒の皆さん、本日
学校は休校になりました」
という放送が流れていた。
あの日ぼくは
いつ来るかわからない電車を
ホームでずっと待ちながら
ひとり権利を行使していた。